植物の採集活動と採集林
科学研究費補助金 基盤B 日本列島における採集林の成立要因と変遷に関する地理学的研究
A Geographical Research on Development and Changes of Gathering Forests in Japan Islands
研究者紹介
藤岡 悠一郎
九州大学 比較社会文化研究院 准教授
■専門分野
地理学、景観生態学
■主な研究活動について
自然環境と人間社会との相互関係、生業活動や自然資源利用の変遷、森林景観の形成過程などのテーマについて、アフリカの半乾燥地域(ナミビア、南アフリカ)や東シベリア寒冷地域、日本の農山村などを対象として研究を行っています。特に、植物などの自然資源利用、農業や牧畜などの生業に関わる文化を対象として、地理的な分布や差異、歴史的な伝播に興味を持っています。また、近年の気候変動や社会経済変化にともなう生業や資源利用の変容についても研究しています。
■現在の活動に関連するリンク
九州大学 研究者情報
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K006612/index.html
■発表論文、著書等
藤岡悠一郎 2016『サバンナ農地林の社会生態誌-ナミビア農村にみる社会変容と資源利用-』昭和堂.
水野一晴・藤岡悠一郎(編) 2019『朽木谷の自然と社会の変容』海青社.
飯田 義彦
筑波大学大学院 人間総合科学研究群世界遺産学学位プログラム/
自然保護寄附講座 准教授
■専門分野
景観生態学、地理学、緑化工学
■主な研究活動について
日本の中山間地域における広葉樹林の景観形成の解明や保全についての研究を進めています。これまでに世界遺産でもある奈良県吉野山のヤマザクラ樹林を対象に、開花状況と気象現象の関係性を実証的に解明することにより樹木集団の保全方法のあり方を検討してきました。また、滋賀県や北陸地方などでトチノキ巨木林の立地環境の解明と保全についての共同研究にも取り組んでいます。
本研究プロジェクトでは、これまでの経験を総合しながら、蜜源林としてのトチノキの役割に注目し、トチノキの生物季節学(フェノロジー)的な観測手法の確立と日本全体でのトチノキの生物季節マップの構築に取り組んでいきたいと考えています。
■現在の活動に関連するリンク
筑波大学大学院人間総合科学研究群世界遺産学学位プログラム
https://www.heritage.tsukuba.ac.jp/
筑波大学大学院自然保護寄附講座
http://www.conservation.tsukuba.ac.jp/
■発表論文、著書等
飯田義彦:山林資源の利用1-「山村遺産」としての炭焼き窯跡,山林資源の利用2-用材と木地を生んだ針広混交林,朽木谷の自然と社会の変容(水野一晴・藤岡悠一郎編著),海青社,pp.87-100,pp.101-110,2019
飯田義彦:新たな森の産業創造―石川県の林業事業者の挑戦,森林環境2017(森林環境研究会編著),森林文化協会,pp.102-111,2017
手代木功基,藤岡悠一郎,飯田義彦:トチノミ加工食品販売の地域的特徴―道の駅販売所に着目して,季刊地理学,東北地理学会,68,pp.100-114,2016
藤岡悠一郎,八塚春名,飯田義彦:滋賀県高島市朽木地域におけるトチモチの商品化,人文地理,人文地理学会,67(4),pp.40-55,2015
手代木功基,藤岡悠一郎,飯田義彦:滋賀県高島市朽木地域におけるトチノキ巨木林の立地環境,地理学評論,日本地理学会,88(5),pp.431-450,2015
飯田義彦,今西純一,森本幸裕:デジタル画像の色彩学的指標を用いた2ヶ年におけるヤマザクラ開芽特性の比較, 日本緑化工学会誌,日本緑化工学会,40(1): pp.66-71,2014
飯田義彦,今西純一,森本幸裕:奈良県吉野山におけるヤマザクラ樹林景観の開花期間に及ぼす気象要素の影響,環境情報科学学術研究論文集,環境情報科学センター,27,pp.1-4
飯田義彦,今西純一,森本幸裕:ヤマザクラ(Cerasus jamasakura)開芽フェノロジーの個体差分布とその指標性の検討,日本緑化工学会誌,日本緑化工学会,39(1),pp.98-102,2013
東口涼,今西純一,飯田義彦,森本幸裕:奈良県吉野山の土地利用の変遷と旅行雑誌から見た景観受容の変化,ランドスケープ研究,日本造園学会,76(5),pp.601-604,2013
飯田義彦,今西純一,森本幸裕:吉野山ヤマザクラ樹林におけるフェノロジー個体差が桜景観維持に果たす役割,ランドスケープ研究,日本造園学会,76(5),pp.451-456,2013
伊藤 千尋
九州大学大学院 人文科学研究院 准教授
■専門分野
人文地理学、アフリカ地域研究
■主な研究活動について
国内では山間部集落を対象に、人の移動やモノ・情報の相互作用を軸とした地域間ネットワークの変遷や現状について研究を進めています。国外では、南部アフリカのザンビアやジンバブウェを主なフィールドとして、都市−農村間の相互作用に関する研究やカリバ湖の漁業資源に関する研究を行なっています。
このような国内外での事例をもとに、都市と農村の関係性に見られる地域性や変化について検討しています。
■現在の活動に関連するリンク
researchmap
https://researchmap.jp/chihiroito
■発表論文、著書等
伊藤千尋. 2019.「行商やその利用者を調査しよう」荒木一視・林紀代美編『食と農のフィールドワーク入門』pp.95-102, 昭和堂.
伊藤千尋. 2019. 「住民の暮らしと行商」水野一晴・藤岡悠一郎編『朽木谷の自然と社会の変容』 pp.201-217, 海青社.
伊藤千尋. 2018. 「アフリカ・日本から考える人口問題と都市-農村関係」矢ケ﨑典隆・森島済・横山智編『サステイナビリティ ─地球と人類の課題─(シリーズ 地誌トピックス第3巻)』 pp.93-103, 朝倉書店.
伊藤千尋. 2018.「四国山岳地域における住民の生活と地域間ネットワーク:高知県吾川郡いの町本川地域を事例に」財団法人国土地理協会2016年度学術研究助成「九州・四国山岳地域における特異な植生景観の動態に関する地理学的研究(代表:小山拓志)」研究成果報告書, pp.23-29. 2018年2月.
伊藤千尋. 2015.「都市と農村を架ける--ザンビア農村社会の変容と人びとの流動性」新泉社.
伊藤千尋. 2015. 「滋賀県高島市朽木における行商利用の変遷と現代的意義」地理学評論 88(5): 451-472.
手代木 功基
金沢大学 人間社会研究域 学校教育系 准教授
■専門分野
地理学(植生地理学、地生態学)
■主な研究活動について
・アフリカ半乾燥地域における植生動態と人間活動
・トチノキ巨木林の立地環境
・高山植生の地生態学的研究
・山地斜面の植生と地形変化の関係
■現在の活動に関連するリンク
researchmap
https://researchmap.jp/kokiteshirogi
■発表論文、著書等
手代木功基 2018.「トチノキ巨木林はどんな場所に成立しているのか?:人為影響下の植生を対象とした統合自然地理学」岩田 修二(責任編集)『実践 統合自然地理学: あたらしい地域自然のとらえ方』 pp.45-57. 古今書院.
Koki Teshirogi, Chisato Yamashina, Yuichiro Fujioka. 2017. "Variations in Mopane Vegetation and its Use by Local People: Comparison of Four Sites in Northern Namibia" African Study Monographs. 38(1):pp.5-25.
手代木功基,藤岡悠一郎,飯田義彦 2016.「トチノミ加工食品販売の地域的特徴―道の駅販売所に着目して」季刊地理学,東北地理学会 68(2):pp.100-114.
手代木功基,藤岡悠一郎,飯田義彦 2015.「滋賀県高島市朽木地域におけるトチノキ巨木林の立地環境」地理学評論,日本地理学会,88(5),pp.431-450.
濱 侃
千葉大学大学院 園芸学研究科 助教
■専門分野
農業気象学、自然地理学、リモートセンシング・GIS
■主な研究活動について
ドローンからスマートフォンまで、対象にあわせ柔軟にプラットフォーム・センサーを変化させた近接からの植生のセンシングを行っています。センシングデータとフィールドで得られる感覚・データを同期することを重視しており、センシングと同期したフィールドでの調査および観察を行うことを心がけています。
■現在の活動に関連するリンク
千葉大学大学院 園芸学研究科
http://www.h.chiba-u.jp/academics/staff/post_10.html
■発表論文、著書等
A. Hama, K. Tanaka, A. Mochizuki, Y. Tsuruoka, A. Kondoh (2020), Estimating the Protein Concentration in Rice Grain using UAV Imagery together with Agroclimatic Data, Agronomy 10(3): 431.
A. Hama, K. Tanaka, A. Mochizuki, Y. Tsuruoka, A. Kondoh (2020), Improving the UAV-based yield estimation of paddy rice by using the solar radiation of geostationary satellite Himawari-8, Hydrological Research Letters 14(1): 56-61.
A. Kondoh, A. Hama, Y. Himiyama, K. Satake, T. Oki (eds) (2020), Nuclear Disaster and Human Geoscience (Human Geoscience. Advances in Geological Science), Springer.
田中圭, 濱侃, 近藤昭彦 (2018), 精密農業実現に向けたドローンの活用,電子情報通信学会誌 101(12): 1181-1185.
濱侃, 田中圭, 田寛之, 近藤昭彦 (2018), ドローンに搭載可能な近赤外カメラの比較と検討:RedEdgeとYubaflex, 日本リモートセンシング学会誌38(5): 451-457.
濱侃, 田中圭, 望月篤, 鶴岡康夫, 近藤昭彦 (2018), UAVリモートセンシングおよび登熟期の気象データに基づく玄米タンパク含有率推定, 日本リモートセンシング学会誌 38(1): 35-43.
濱侃, 田中圭, 望月篤, 新井弘幸, 平田俊之, 八幡竜也, 鶴岡康夫, 近藤昭彦 (2018), UAVリモートセンシングおよび日射量を用いた水稲の草丈と収量の推定, 水文・水資源学会誌 31(2): 68-82.
小島千鶴, 小寺浩二, 濱侃, 齋藤圭 (2017), 群馬県大間々扇状地における地下水水質の空間分布および季節変化特性―硝酸態窒素に着目して―, 日本水文科学会誌 47(2): 61-70.
濱侃, 田中圭, 早崎有香, 山口英俊, 近藤昭彦 (2017), 小型UAVによる空間線量率マッピングと放射能汚染地域への適用, 日本リモートセンシング学会誌 37(1): 13-20.
濱侃, 早崎有香, 望月篤, 鶴岡康夫, 田中圭, 近藤昭彦 (2016), 小型UAVとSfM-MVSを使用した近接画像からの水稲生育モニタリング, 水文・水資源学会誌 29(2): 44-54.
福永 将大
九州大学 総合研究博物館 助教
■専門分野
考古学
■主な研究活動について(テーマおよび内容)
主な研究テーマは、先史時代における文化・社会の研究です。特に、縄文時代を対象として、文化・社会構造の時空間的変異の発現メカニズムや、集団間における文化の伝達・受容・拒絶、人間と自然の関係史、に関心をもって研究を進めています。
■現在の活動に関連するリンク
九州大学
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K007279/index.html
■発表論文、著書等
福永将大 2020『東と西の縄文社会―縄文後期社会構造の研究―』雄山閣.
福永将大 2017「縄文時代後期広域土器分布圏の変遷とその特質―器種構成の時空間的検討を通して―」『考古学研究』第63 巻第4 号 37-59 頁
福永将大 2016「縄文時代後期中葉土器群の基礎的研究―西日本広域土器編年案の提示―」『古文化談叢』第75 集 97-131 頁
八塚 春名
津田塾大学 学芸学部 多文化・国際協力学科 准教授
■専門分野
生態人類学
■主な研究活動について
タンザニアの乾燥地と日本の山村に暮らす人々を対象にフィールドワークをおこない、自然資源利用や食文化に関する以下の3つの研究を進めています。
第1に、狩猟や採集、農耕といった、自然環境を利用した生業活動が、社会の変化によってどのように影響を受けるのか、その変化を長期的に追っています。
第2に、野生や雑草性の食用植物に注目し、その利用や流通について調べています。それらは地域限定的な食材ですが、そこに暮らす人たちにとってはなくてはならない身近なもので、アフリカの食を考えるヒントがつまっています。
第3に、日本の山村で伝統的に採集されてきたトチノミ(トチノキの実)の利用について研究をしています。
特に、トチノミがインフォーマルに流通しているようすと、トチノミのあく抜きに利用する灰の入手方法の変化に関心をもっています。この研究をとおして、原子力災害後の自然資源の利用という現代的な課題へも挑戦しています。
■現在の活動に関連するリンク
津田塾大学
https://www.tsuda.ac.jp/academics/dept-mi/teacher/yatsuka.html
■発表論文、著書等
大学のウェブサイト(上記URL)からご覧ください。