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代表挨拶

 生物多様性ホットスポットの一角を成す日本列島では、かつて生態系に組み込まれていた人々の生業や生活様式が、産業構造の転換や過疎化・高齢化の進行などにともなって大きく移り変わり、人間活動が関わることで形成・維持されてきた人為生態系が変化しています。私たちは、将来に向けて人為生態系をいかに活用し、生物多様性をどのように保全していくのかについて考えていく必要があります。 

 本共同研究では、私たち人類が遠い過去から続けてきた生業の一つである”植物資源の採集活動”に注目し、人々の採集活動にともなって成立してきた”採集林”という人為生態系に焦点をあてていきます。

 

 これまで、里山などの多様な人為生態系が存在する日本列島において、”採集林”という概念は体系的に整理されてきませんでした。しかし、日本および世界には、”採集林”と位置付けることができる植生(森林)が各地に成立していることが明らかになってきています。地域の人々の生業や文化と深く関わりながら育まれてきた採集林が、人知れず伐採・開発され、放棄されてしまう前に”採集林”という植生(森林)の一形態を日本列島の植生誌の中に位置づけ、生物多様性上の意義や文化的な意味を整理することが必要なのではないかと私たちは考えています。 

 そして、将来、自然と社会が有機的に結びついた持続可能な社会を育んでいく際に、植物の採集活動や採集林という人為生態系は再び注目されるべき存在ではないかと考えています。 

 本共同研究では、日本列島の人為生態系を”採集林”という観点から整理し、地理学や人類学、考古学、リモートセンシングなどの異分野の協働による現地調査をもとに、採集林の地理的な分布や多様性、成立メカニズムなどを明らかにしていくことを目的とします。 そして、採集林の文化的・歴史的な意味づけを検討し、無秩序な伐採や放棄が進む採集林の再活用策や多様性保全策に繋げていくことを模索していきます。

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​代表 藤岡 悠一郎

© 2021 A Geographical Research on Development and Changes of Gathering Forests in Japan Islands 

本サイトは、科学研究費補助金を用いて作成しました。

[科学研究費補助金 基盤研究(A)『日本列島における採集林の動態の解明:採集の再評価に向けた統合学際研究』(課題番号:24H00124)]

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